歯周病治療 ③

皆様、こんにちは!
歯科衛生士の市川です。

前回のブログに書きました「原因療法」を、なぜ私が大切にしているのか、を今回はお伝えしたいと思います。

歯周病治療をしていると、歯周病を改善させ良い状態を維持させることは本当に難しい、と実感します。

そこで私は、歯肉の痛みや腫れを繰り返して歯周病が進んでしまうのはなぜか、を知ることが大切ではないかと思いました。

歯周病の症状を繰り返してしまう主な要因は、以下の3つが考えられます。

①患者様ご自身のプラークコントロールの難しさ
②歯科衛生士による炎症のコントロールの難しさ
③力(咬み合わせ)のコントロールの難しさ

それぞれの要因をふまえて、歯周病治療をする際のポイントは次のようになります。

歯磨き指導を受けて歯磨きがどんなに上手な人でも、40%の磨き残しがあるというデータがあります。
磨いている、と、磨けている、の差は大きく、日々のセルフケアが不十分であれば、歯肉が腫れたり痛みの原因である細菌の除去は出来ないのです。
なので、自分の歯のどこが磨けていなくて、なぜそこが磨き残す苦手な部分なのかを知り、患者様自身でプラークコントロールをすることが、歯周病治療の第1の重要ポイントになります。

けれども、どんなに歯磨きを頑張っても歯石はついてしまいます。
歯周病の原因である細菌は嫌気性菌と言い、歯周ポケットの奥深くの空気の薄い所を好むので、歯石は歯面だけでなく、歯周ポケットと呼ばれる歯と歯肉の溝の根面に溜まりやすいのです。
歯周ポケットの中にこびりついた細菌や歯石が、歯肉を腫れさせたり支えている骨を溶かし歯が動き始めるので、歯周ポケットの中の細菌と歯石を徹底的に除去し、細菌や歯石が再付着しないようツルツルに磨き上げる必要があります。
歯の根の形はとても複雑であり、歯肉や歯根面を傷つけないようにスケーラーという専用の器具を使い、通常28本ある歯を1本づつ手で丁寧に時間も回数もかけて行います。
歯面だけではなく、歯周ポケットの中の細菌や歯石を徹底的に取る事が、歯肉が腫れにくくなり、歯を支えている骨が溶けるなどの歯周病の進行をくい止めることに繋がり、歯周病治療では歯科衛生士による炎症のコントロールが第2の重要ポイントになります。

そしてもう一つ大事なのは、力(咬み合わせ)のコントロールです。
過度な力が加わると歯を支える組織が力に耐えられずに損傷してしまうので、特定の歯に強い力がかかっている時には咬み合わせを調整したり、動揺している歯は固定をします。
歯に余計な力が加わらないように、頬つえや、舌や口唇の癖、口呼吸、片噛み、就寝時の癖などの生活習慣の改善が必要になることもあります。
睡眠時は起きている時よりもはるかに大きな力でくいしばったり、 歯ぎしりをしてしまうため、ナイトガードというマウスピースをつけて寝ることをお勧めする場合もあります。
また、日中も噛み締めないように意識することも大切です。
歯周病は強い力により進行することがあるため、歯周病の治療にはプラークコントロールと炎症のコントロールと共に、 力のコントロールが第3の重要ポイントになります。

歯周病治療の3つのポイント!
①患者様ご自身のプラークコントロール
②歯科衛生士による炎症のコントロール
③力(咬み合わせ)のコントロール

「原因療法」は、歯周病の根本的な原因にアプローチして、なるべく再発をさせない治療法ですから、私は「原因療法」の考え方を大切にしています。

次回は、歯周病治療には欠かせない「原因療法」の中の1つ、力のコントロールの日中の噛み締めの予防の仕方をお伝えしたいと思っております。

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